好きだなんて言わないで。信じてしまいそうになるから。

そして今夜もまた、あなたはオレを拒絶する。





おとぎばなしのように







まるで暗い夜の闇に、紛れてしまいそうなほどの黒、あなたの柔らかな手触りの髪の毛や、子供を見つめる時の眼差しや、優しく響く低い声や、そのなにもかもが。
「好きです」
毎夜囁いてもいいえと毎夜首を振られる、どうしたら、信じてもらえるの。
夜空にかかる三日月は白く、夢のように辺りは明るく照らされていた。風も無く、雲も無く、ごく小さな星すらも驚くほど輝いて見える、こんな夜に。
あなたの首筋にそっと顔を近づければ甘やかな匂い、酔ってしまいそうなほど甘く熱いあなたの味。
ねえ好きなんですともう一度、あなたに告げた、あなたはもう一度緩慢に首を振った。「多分それは、違うから」
いいえいいえいいえ、どうして信じてくれないのか、こんなにも甘いあなたの味、それは愛の味、愛しているから、だから甘い。
聞いているのかいないのか、静かに微笑むあなたの姿に、愛しくて愛しくて殺してしまいそう。だから早く。


ただ、あなたの全てが欲しいだけ。





そうして、王子様とお姫様はいつまでも幸せに暮らしました。
そんなくだらない、夢物語のように。







2006.05.07
吸血鬼カカシ。カカシ視点。